最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)562号 判決 1949年5月28日
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人若林清の上告趣意第三點について、
刑法第二四〇條後段の強盗殺人罪は強盗犯人が強盗をなす機會において他人を殺害することによりて成立する罪である。原判決の摘示した事実によれば、家人が騒ぎ立てたため他の共犯者が逃走したので被告人も逃走しようとしたところ同家表入口附近で被告人に追跡して來た被害者両名の下腹部を日本刀で突刺し死に至らしめたというのである。即ち殺害の場所は同家表入口附近といって屋内か屋外か判文上明でないが、強盗行爲が終了して別の機會に被害者両名を殺害したものではなく、本件強盗の機會に殺害したことは明である。然らば原判決が刑法第二四〇條に問擬したのは正當であって所論のような違法はない。論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)
よって、刑訴施行法第二條、舊刑訴法第四四六條に則り主文のとおり判決する。
右は裁判官全員の一致した意見である。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)